2022年7月4日月曜日

2022年に自分の用途にあったMacを選ぶ 〜IntegoTips〜

 

こんにちは、いつもact2ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

act2ブログ~IntegoTips~をお届けいたします。

2022年に自分の用途にあったMacを選ぶ

(この記事は、2022年6月20日にKirkMcElhearn(https://www.intego.com/mac-security-blog/author/kirk-mcelhearn/)によってMacSecurity Blogに投稿されたHow to choose the right Mac for your use case in2022の翻訳です)

ここ最近で、AppleのMac製品ラインアップは様変わりしました。新しいMacを買おうにも、それぞれの製品にどんな特徴があるのかつぶさに調べなければ違いがわからないほどです。Macに詳しく必要な仕様がはっきりしているなら、迷うことなく買うべき製品を決めることができるかも知れませんが、人によってはどれにしたら良いのかいつまでも決められないのではないでしょうか。

探しているのがデスクトップMacなら、まだ大きく4つのモデルから選ぶだけですが、ラップトップではモデル、機能、そして画面サイズによっていくつもの選択肢が出てきます。ラップトップを持ち歩くのでなくデスクの上に置いてメインでも使うとなれば、これまたいくつかの要素を組み合わせて検討しなければなりません。この記事では、皆さんが新しいMacを買う際にその用途や目的に合わせて選ぶべき製品をお勧めできたらと思います。

■AppleのM1およびM2プロセッサ

まず、ここ数年でMacに起きた最も大きな変化は2020年後半のAppleのM1プロセッサを搭載するMacの登場です(
https://www.apple.com/uk/mac/m1/
)。これにより、新しいMacを選ぶ際にはプロセッサの種類について考えなければなりません。2022年も半分が過ぎた今、1種類のMacを除けば、すべてのMacがAppleの自社製プロセッサのバリエーションを搭載しています。Appleがこの新しいプロセッサを搭載したMacを初めて公開したプレゼンテーションは、多くのMacユーザにとってその内容を俄には信じられないほどの驚きでした。

https://www.intego.com/mac-security-blog/apple-announces-first-macs-with-apple-silicon/ )

発表された処理速度と電力消費は予想外に優れたものでしたが、それがベンチマーク計測および実際の利用によって裏打ちされたデータだったのですから驚くのも当たり前です。

https://www.intego.com/mac-security-blog/a-week-with-the-new-apple-m1-macbook-air/

当初のM1
Macには、8コアのプロセッサが搭載されました。ちなみに、コアとはそれ自体が小さなプロセッサであるとも考えられますから、1個のプロセッサに実は8個のプロセッサが入っていると言っても良いでしょう。一般的なほとんどの作業で使用されるコアは1個だけですが、高い処理能力を必要とする処理では複数のコアが同時に使用されます。

AppleがM1 ProおよびM1 Maxプロセッサと呼ぶ二代目M1プロセッサを搭載するMacは、当初はMacBookProだけでした。14"と16"の2種類の製品があり、まさにプロ用と呼ぶにふさわしいラップトップでした。8コアあるいは10コアにグラフィック用コアが追加され、初代M1Macより多くのメモリを追加することができました。


2022年3月に、AppleはM1 Ultraをその時点での新製品MacStudioに搭載しました。このプロセッサは、並行処理を提供するために2個のM1Maxプロセッサをダイトゥダイ相互接続して作られています。

2022年6月に、Appleは次世代プロセッサであるM2プロセッサを搭載した初めてのMacを発表しました。この新しいプロセッサの能力はM1から飛躍的に改良されているわけではなく、最大24GB RAMに対応するなどの改良版という位置付けです。13" M2 MacBookProは前身製品のすべての機能を持ちながら、処理速度は高速化し、AppleはM1の該当製品に比べて1.4倍高速だとしています。

M2 MacBook Airは、Appleの軽量ラップトップを全く新たに作り直した製品です。楔のような空力設計におさらばし、2台のiPadProを一つに重ねたような形状をしています。とはいえ、まだファンレスのM2 MacBookAirには、LiquidRetinaディスプレイとMagSafe対応が追加され、最長18時間のバッテリ駆動時間を誇ります。もちろんお値段も相応で、まだ134,800円で販売されているM1モデルより3万円ほど高くなっています。

Appleのほぼすべての製品ラインアップが自社製プロセッサにアップデートされた今、前時代のIntelプロセッサを搭載するMacの購入を検討する必要はありません(もちろん、後述するようにIntelプロセッサを必要とする人もいす)。予算に合わせた選択肢があり、サイズに合わせた選択肢があります。2020年後半に発売されたM1Macの最初の波には、MacBook Air、13" MacBook Pro、そしてMac miniがありました。24"iMacは2021年5月に発売され、2021年10月にはAppleが14"と16"のMacBookProモデルを発売しました。そして2022年3月にMac miniとMac Proの間に位置する新しいMacStudioが発売されます。ちなみに、このMacProはApple製プロセッサがまだ搭載されていない唯一の製品です。最後に、Apple製プロセッサの今後の展開を予想させる13"M2 MacBook ProとMacBook Airが発表されました。

M1 iMacは7色
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2021/04/imac-sides-hero-600.jpg

一つ大事なことがあります。AppleのM1プロセッサに対応しておらず今後も対応しないであろうソフトウェアを使っている場合、あるいはBootCampを使ってMac上でWindowsを使うためにはInteglプロセッサが必要です。そしてIntelプロセッサが必要なのであれば、今こそMacを買っておくべきです。この記事執筆時点で、まだ販売中のIntelプロセッサを搭載するMacはMacminiの中の1モデルとMacProだけです。しかし、近い将来にはすべてのMacがApple製プロセッサ搭載になるはずです。まぁ、いざとなればIntelプロセッサを搭載する中古Macは山ほどありますし、Appleのオンラインストアで整備済製品を買うこともできます。

■費用

2022年3月までは、金に糸目をつけず、とにかく強力なMacが必要なのであれば、考えるまでもなくMacProを買えばよかったのです。662,800円以上出せれば、デスクトップMacのロールスロイスを買えるのです。超高速で大量のRAMとSSDストレージが必要なら、500万円ほど追加してカスタマイズすることもできます。でも、近いうちにAppleは自社製プロセッサを搭載したMacProを発売しそうですから、今Mac Proを買うのは賢い選択とは言えません。高速なIntelMacがどうしても必要ならこの製品を買うしかありませんが、2022年3月に発売されたAppleの新しいMac
Studioこそが、今プロが買うべきMacです。

Mac ProとAppleのPro Display XDR
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2021/02/mac-pro.jpeg

MacProを選ぶ人が注目しているのは、処理速度だけではありません。大量のRAM、膨大なストレージ容量、高速ネットワークカードへの対応なども魅力です。60万円近くするAppleのProDisplay XDRと組み合わせれば、デジタルクリエーションのための究極のワークステーションとなります。これは、MacProを必要とする人にとっては自明の理です(ほとんどの人はMacProを必要としませんが、どうしても必要な人もいるのです)。

少し背が高いMac miniのようなMac Studioは、M1Ultraプロセッサを搭載する初めてのMacです。このプロセッサは、倍の速度、倍のメモリ、そしてGPUパワーを実現するために2個のプロセッサを1個に連結したものです。558,800円でもMacProよりお安く、やや非力なM1 Maxプロセッサを搭載したモデルなら278,800円で買うことができます。Appleの新しいStudioDisplayと組み合わせれば、クリエーティブなプロのための強力なワークステーションになります。MacStudioは最大128 GBのユニファイドメモリと8 TBSSDストレージに対応し、最大にカスタマイズしても978,800円です。選択肢として比較するべきなのは、Teslaの価格にも肉薄するMacProの最高モデルということになるでしょう。

その際、Mac Studioには拡張性がなく、MacProにのみ追加できる拡張カードが存在するという事実を忘れてはいけません(https://support.apple.com/ja-jp/guide/mac-pro/apd589f8ae17/mac)。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/03/studio-mac-and-display.jpg

ラップトップについて言うと、ハイエンドは最低338,800円する16" MacBookProです。より高性能なプロセッサに変更し、メモリとストレージの容量を増やせば、この金額はさらに高くなります。16"MacBookProは、80万円を超えるまでカスタマイズすることができます(メモリとストレージについては後述します)。

■何の目的でMacを使いますか?

Macをウェブ閲覧、電子メールの送受信、音楽のストリーミング、そして簡単なゲームにしか使わないなら、とにかくAppleのM1プロセッサを搭載するMacであれば用をなすでしょうから、134,800円のMacBookAirのベーシックモデルを買っておけば間違いありません。

しかし、ゲームが大好きだったり、大量のビデオを撮影したり、写真の編集をするなら、処理能力の高いMacが必要になります。そんな場合でも、M1Macを選んでおけばM1プロセッサの処理能力を使い切ることはないでしょう。M1プロセッサが登場した時には製品を選ぶのは簡単でしたが、今やM1、M1Pro、M1 Max、M1Ultra、そしてM2の5種類の選択肢がありますから最適な製品を選ぶのは大変です。こうしたプロセッサのベンチマークを読み解くのも一苦労です。すべてのM1プロセッサはシングルコアの処理速度は変わりませんが、M1ProとM1 Maxではマルチコアの処理能力に差が出てきます。

さらに、Macを持ち歩くつもりなら重さにも配慮しなければなりません。持ち歩かなくても、使っていない時は畳んでしまっておく必要があるかも知れません。現在のラップトップMacの能力であれば、デスクでの仕事と持ち歩きの両方の用途でほとんどの人を満足させるでしょう。家や職場で画面の小ささが気になる場合は、外付けモニタを接続すれば良いのです。そして使っていない時や不要な時は、畳んでしまっておくこともできます。

軽さに注目するなら、Appleのラップトップの中ではMacBook Airの1.29Kgが最軽量で、13"MacBook Proの1.4Kg、14" MacBook Proの1.6Kgと続きます。16" MacBookProは2.2Kgありますので、荷物を極力軽くしたいならこのモデルは避けるべきでしょう。

なお、特別な用途があるわけでなく、Apple純正以外の特殊なAppも必要なく、Macにコピーしたり、Macからコピーしなければならないファイルもないのであれば、iPadを選んだほうが得策です。

https://www.intego.com/mac-security-blog/which-ipad-is-best-for-you/)

■デスクトップMac Proの長所と短所

家や職場のデスクで仕事をし、Macを持ち歩く必要もないのなら、iMacが最善の選択肢です。ちなみに、Mac
Studioが発売された際に27"のiMacが販売終了したので、今では24"モデルしかありません。そのため、より大きな画面が必要なら、MacminiとAppleのStudioディスプレイの組み合わせか、新しいMacStudioとStudioディスプレイを組み合わせることになります。あるいは、ラップトップMacにStudioディスプレイを接続して使うこともできます。MacBookProはラップトップMacですが、M1プロセッサが初めて搭載されたMacの内の一つであるMacminiよりも高機能です。

現在のMac
miniは、多くの用途でお得な選択肢です。周辺機器は自分で選ぶ必要がありますが、ベーシックモデルが92,800円と低価格だし、サイズも小さくて静かです。Appleは、Intelプロセッサを搭載するMacminiもまだ売っているので、サイズの小さなIntelプロセッサのデスクトップMacが必要なら、検討する価値があります。

Mac mini
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■ラップトップMacの長所と短所

Appleには、MacBook AirとMacBook Proという2種類のラップトップのシリーズがあります。MacBookAirは画面が13"ですが、MacBookProには画面が13"、14"、そして16"の製品があります

強力でありながら手の出しやすい価格のMacを探しているすべての人にとって、M2 MacBookAirは最適な選択肢になるでしょう。13" MacBook ProとMacBook Airの主な違いは、MacBookAirが13" MacBook Proより少し軽いということと、MacBook Proに搭載されているTouchBarがMacBookAirにはないと言うことです。しかしTouchBarは、一部の人には絶賛されながら多くの人に嫌われていますし、同時にMacBookProの価格が高くなる原因にもなっています。Touch Barが便利だと思うのならMacBookProも選択肢になるでしょうが、ベーシックモデルのM2 MacBook Airは164,800円のところ、MacBookProは178,800円からとなります。

13" MacBook Pro
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/03/m2-macbook-pro.jpeg

TouchBarの有無を除いた使い勝手という点で言えば、この2つのシリーズに違いはほとんどありません。同じプロセッサ、同じ容量のRAM、そしてどちらにも2個のUSB-C/ Thunderboltポートしかありません。MacBookAirには冷却ファンがなく騒音を立てないという点には注目して良いでしょう。AppleのM1プロセッサの電力効率が非常に良いためあまり熱くならないことがその要因の一つです。静かなMacが欲しければ、MacBookAirを選んでください。なお、Touch BarはMacBook Proにしかありませんが、MacBookAirもMag-Safe対応です。

Appleは、2021年9月にM1 ProおよびM1 Maxプロセッサを搭載した14"と16"の新しいMacBookProを発売しました。初代のM1Macが高速なら、新たにグラフィックコアも追加されたこの新しいプロセッサは超高速です。これらのモデルの価格は、それぞれ274,800円からと478,800円からとなります。

14"と16" MacBook Pro
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2021/10/macboook-pro-pro-max.jpg

M1 ProおよびM1 Maxを搭載するMacBookProにはより多くのポートがあり、MagSafe対応です。MagSafeとは磁石で電源ケーブルを本体に接続するもので、電源ケーブルを引っ掛けてもラップトップが引っ張られて床に落ちることがありません。M2MacBook AirもMagSafe対応です。ディスプレイは改良されていますし、全体に13" MacBookProより優れた製品です。新しいMacBook Proの追加機能とパワーが不要なら、MacBookAirかMacBook Pro 13"を買ってお金を節約できます。

■ストレージとメモリ

Appleは、Macを注文する際にストレージとメモリを追加できるビルド・トゥ・オーダーの仕組みで大きな利益を上げています。ちなみにメモリは異なるサブシステムによってプロセッサ全体で共有されるため、自社製プロセッサ上のメモリをRAMと呼ばずユニファイドメモリと呼んでいます。さらにプロセッサに溶接されているので、以前のように安い純正ではないRAMを買って交換したり増設することはもうできません(MacProだけは例外です)。例えば、搭載メモリが8 GBの13" MacBookProをの場合、基本仕様で178,800円です。さらに8GBのメモリを追加すると28,000円が追加され、24GBの最大容量まで増量するとさらに28,000円がかかります。メモリが最大の24 GBで、SSDが最大の2TBにすると合計で346,800円になります。

そして新しいM1 ProとM1 Maxのモデルを見ると、さらに多くのプロセッサ、メモリ、そしてストレージの選択肢が用意されています。14"MacBook Proは274,800円で、より多くのコアを持つプロセッサにすると最大98,000円、16GBのメモリを64 GBに増やすと112,000円、そしてSSDストレージを8TBに増やすとなんと336,000円も余分に費用がかかります。M1 Ultraプロセッサを搭載するMacStudioでは、メモリを最大128 GBまで増やすことができます。

ここまで多くのメモリとストレージを必要とする人はいるのでしょうか? M1Macの登場で、メモリとストレージの意味は大きく変わりました。このプロセッサとオンボードのRAMは素晴らしい技術で最適化されているので、ほとんどの用途ではメモリは8GBあれば十分です。私は、基本仕様のM1 MacBook Airを買いましたが、生まれて初めて出荷時のたった8GBのRAM以上のメモリの必要性を感じません。最も負荷の高い作業も難なくこなし、画面表示もスムーズです。

さらに新しいMacBook Proでは、メモリは16 GBから始まり、プロセッサの種類によっては最大64GBまで増やせます。Macをプロセサ負荷の高い処理に使うなら、最大メモリを選ぶべきですが、それは本当の意味でのプロが使うMacBookProを意味します。重たいビデオ編集をこなすようなプロ用のコンピュータですから、予算の許す限り最大で最高の仕様を選択してください。ただし、膨大な処理能力を必要としない日常業務にしか使わないのであれば、64
GBのメモリも宝の持ち腐れになることは確実です。

ストレージについては、現在お使いのコンピュータをよく見て、その使用頻度を考えて必要と思われる二倍の容量を選んでください。と言うのも、新しいコンピュータを買ってから次のコンピュータに買い替えるまでの間に、Appはさらに大きくなり、写真、音楽、そしてビデオの量も増えるからです。すでに巨大な音楽およびビデオのライブラリを持っていたとしても、デスクトップMacなら外付けのドライブが使えますから、新しいMacで余分なストレージにお金を払う必要はありません。外付けのSSDは、そんなに高いものではありませんし、場所も取らないので邪魔になることもありません。1
TBのデータを保存するストレージが必要だと言うなら、外付けSSDが最適な選択肢でしょう(用途別のドライブの種類については、次の記事を参照ください:
https://www.intego.com/mac-security-blog/how-to-choose-the-right-hard-disk-for-your-mac/)。

■お金を節約する一つの方法

Appleのオンラインストアにある認定整備済製品のページをチェックすると、費用を節約できるかも知れません(
https://www.apple.com/jp/shop/refurbished)。

このページには、Macを始めとするApple製品が、約15%引きで販売されています。場合によっては一年前の製品かも知れませんが、Appleによる保証があり、AppleCareを付けることもできます。私も整備済みのMacを何台か買ったことがありますが、お金を節約するには良い方法でした。ただし、仕様を変更できないので自分の用途にピッタリ合うMacを選ぶ必要があります。この記事執筆時点では、Appleは認定整備済製品のページで多くのM1Macと同時に多くのIntel Macを販売しているので、IntelMacを探しているならチャンスかも知れません。

今や新しいMacを買おうとすると、Apple製プロセッサを搭載したMacのサイズ、重量、処理能力、そして価格の違いによるたくさんの選択肢があります。これでApple製プロセッサへの移行がほぼ完了したと考えれば、今後何年間も使い続けることができる高速な新しいMacを購入するには良いタイミングなのだと言えるでしょう。

■お使いのMacは安全ですか?

Mac用のセキュリティソリューションを検討しているなら、ACT2の次のIntego製品ページで機能や目的に合った製品があるかご確認ください。


https://www.act2.com/intego

株式会社アクト・ツー
Software Product Team


2022年6月27日月曜日

Intyego Tips 〜Appleによる計画的陳腐化なのか: iOS 16およびmacOS Venturaは多くのモデルに非対応〜

 

Appleによる計画的陳腐化なのか: iOS 16およびmacOSVenturaは多くのモデルに非対応

(この記事は、2022年6月14日にKirkMcElhearn(https://www.intego.com/mac-security-blog/author/kirk-mcelhearn/)によってMacSecurity Blogに投稿されたApple’s Planned Obsolescence: iOS 16, macOS VenturaDrop Support for Many Modelsの翻訳です)

「計画的陳腐化」という考え方は、100年くらい前から存在しています。自動車市場の飽和による販売不振に対応するため、GMが毎年新型車種を発売しようと決めたのが始まりとされています(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%88%E7%94%BB%E7%9A%84%E9%99%B3%E8%85%90%E5%8C%96
)。もちろん、一般的な概念としてはそれ以前にも存在していました。ファッション業界では毎年デザイナが何を売るか決定し、そうして出てきた新しいデザインによって実は必要ではない新しい洋服を消費者に買わせようとしてきました。こうした考え方は、今では多くの業界に浸透しています。特に消費財、例えばコンピュータで顕著です。

電化製品について言えば、計画的陳腐化は技術の進歩とも関連しています。ジャンルによっては、新しい技術が目に見える新機能に直結しないこともあります。冷蔵庫、電子レンジ、CDプレイヤ、スピーカなどは、プロセッサの処理能力とほとんど関係がありません。なので何年経っても、大きな変化がありません。古くはなっていきますが、20年以上使われるキッチン家電も珍しくないでしょう。

しかしより高速なチップや新しいプロトコルの恩恵を常に受けているコンピュータでは、新しい機能を使うために製品をアップグレードしたいと考えるのもわかります。でもよく考えたら、ちょっと前の年代のiPhoneが最新iOSの機能に対応できないほど古臭くなってしまっているのか疑問もあります。例えば、最新iOSの一部の機能が使えなかったとしても、アップデートに対応さえしていればセキュリティパッチは適用し続けられるので、頻繁に製品を買い換える必要もなくなって、よりエコなんじゃないでしょうか。

世界一価値がある会社であるAppleは、その計画的陳腐化に対して、特にiPhoneに関して多くの批判(
https://www.firstpost.com/tech/news-analysis/apple-to-pay-consumers-3-4-million-in-a-lawsuit-over-programmed-obsolescence-of-iphones-in-chile-9507131.html
)、調査( https://www.bbc.co.uk/news/world-europe-42615378 )、そして訴訟(
https://9to5mac.com/2021/03/01/apple-lawsuit-portugal-planned-obsolescence/
)の標的になってきました。

先日発表された新しいオペレーティングシステムでもAppleはそれほど古いとは言えない多くの機種を対象から除外する予定ですが、これが新しい製品を買わせる目的だとしてまた批判されるでしょう。それは公平な意見でしょうか? 性急に結論に飛びつかないように、この問題をもう少し深く見てみましょう。

■多くの古いiPhoneがiOS 16に対応しません

iOS 16の対応機種が発表されましたが、AppleがiPhone
8より前に発売された全てのデバイスを対象外にしたことで多くのユーザがガッカリしています。Appleは2016年に発売したiPhone
7を、より新しいiPhone
8が登場した後も2019年9月まで廉価版iPhoneとして販売し続けました。ということは、販売が終了する直前にiPhone
7を買ったユーザは、たった3年前に買ったスマートフォンなのにもうアップグレードができないことになります。iPhone
6Sおよび6S Plusは、2018年9月まで販売されましたし、初代iPhone
SEも同様で、これらのデバイスもアップグレードできません。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/iphone-spreadsheet.png

最も驚きなのは、直近のiOS 13からiOS 15までの3個のiOSバージョンでは、変わらずiPhone
6Sまで対応していたという事実です。これらの旧型デバイスのユーザは、自分のスマートフォンを長く愛用できると感じていたことでしょう。誤解のないように書いておくと、6Sは2015年に発売されてから5年半後の2018年9月に販売終了したのですが、その後もiOSのアップグレードに対応したので合計で7年間とスマートフォンとしては長く使えた製品と言えるのです。

iOS
16に対応しないiPhoneのユーザは、その新機能が使えないことで落胆しているだけでなく、デバイスのセキュリティについて不安を持っています。iOS
15が公開された時、Appleはユーザが「重要なセキュリティアップデートを利用しつつ、一定期間はiOS
14を使い続けることもできます」としましたが( https://www.apple.com/jp/ios/ios-15/features/
)、この一定期間とは36日間だけだったのです。AppleがiOSおよびiPadOS
14(バージョン14.8.1)のために公開した最後のアップデートは2021年10月26日で、iOS
15が公開されてからわずか5週間後でした。

ちなみにAppleのiOS 15で利用できる新機能ページには、今でも「重要なセキュリティアップデートを利用しつつ、一定期間はiOS
14を使い続けることもできます」と書かれています( https://www.apple.com/jp/ios/ios-15/features/
)。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/Screen-Shot-2022-06-13-at-15.31.03.png

もちろん36日だって「一定期間」だと言い張ることはできるでしょうが、Appleにはこのような誤解を招く表現が多い気がします。この10月のiOS
14.8.1の公開時には、iOS 15の重要なセキュリティ上の脆弱性がパッチされたのですが、iOS
14については拡散していたゼロデー脆弱性を含む脆弱性に対して危険な状態のまま放置されたのです。

2022年5月の時点で、iPhoneの全ユーザの17%がiOS
14を使っていますが、もう自分のiPhoneには重要なセキュリティアップデートが提供されないという事実を意識してはいないでしょう(
https://gs.statcounter.com/os-version-market-share/ios/mobile-tablet/worldwide
)。

iOS 16が対応しないiPhoneの機種に関していうと、Appleがパッチしない危険には晒されたままになりますがiOS
15は使い続けられます。AppleがiOS 16を公開した後でもiOS
15をパッチし続けるか、パッチするとしてどこまで対応するのかは、いずれわかることです。ただし過去の例に照らし合わせるならば、Appleは以前のiOSバージョンの脆弱性を一切パッチしないと考えられます(
https://act2blog.blogspot.com/2022/06/apple.html )。

オペレーティングシステムの新機能というものが、より高速なプロセッサ、より大きなRAM容量、より大きなストレージ容量を必要とするのは事実ですから、Appleが特定のiPhoneの機種を対象から除外するのは自然なことです。しかし持続可能性と環境への負担軽減を標榜する会社であるAppleなら、ユーザが古いデバイスをもっと長く使い続けられるように努めるべきだとも思います。

■M1 iPadのステージマネージャ問題

iPhoneは毎年新製品が出るので、古いデバイスが徐々に対応リストから除去されていくのは当然のことかもしれません。しかし、iPadではそれほど頻繁に新製品が登場しません。ですので、iPadではiPhoneのように古いiPadがどんどん対応リストから除去されることはありません。実際、iOS
16に対応しなくなるiPadは、iOS 12に対応していた製品リストと比較してもiPad Air
2とiPad mini 4の2機種だけです。iPad Air 2はiOS
8を搭載して2014後半に登場したので、iPadの中で最も寿命の長い機種の一つです。iPad
mini 4はその翌年に発売されています。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/ipad-spreadsheet.png

興味深いのは、iPad(第五世代)とiPad(第六世代)は、iPhone 6SおよびiPhone
7とよく似たハードウェア構成であるにも関わらず、iPhoneの方はiOS 16に対応しないのにiPadの方はiPadOS
16に対応すると言うことです。

でも、iPadOS 16の売りの機能の一つはM1
iPadでしか使えません。iPadの先進のウインドウシステムであるステージマネージャは、iPad
ProおよびiPad Air(第五世代)でしか動作しないのです。現在も販売されているエントリーレベルのiPad(第九世代)やiPad
mini(第六世代)では使えません。現在も販売されているiPadで注目の機能が使えないという事実に対して、Appleユーザのコミュニティでは激しい議論が戦わされています。

Appleは「仮想メモリスワップを使用すると、iPadのストレージを使用して、すべてのアプリケーションで利用可能なメモリを拡張できる」とし、この機能には最新プロセッサが必要だと説明しています(
https://www.apple.com/jp/newsroom/2022/06/ipados-16-takes-the-versatility-of-ipad-even-further/
)。逆に言えば、この事実によりM1プロセッサが今後もiPadに登場する新機能に対応する鍵になることが予想できます。

少なくともiPadOS 16では、AppleはiPadOS
15に対応するほとんどのiPadでアップグレードを可能としました。Appleはそうした機種で特定の機能が使えなくてもアップグレードは可能としたのです。一方iPhoneでは、できるかできないかの二択です。

誤解のないように書いておくと、確かにiPadの機種より多くのiPhoneの機種が新オペレーティングシステムの対応リストから除外されていますが、対応する機種の中で最も古いiPhone
8、iPhone 8 Plus、そしてiPhone Xなどで使えないiOS 16の機能もかなりあります(
https://9to5mac.com/2022/06/07/ios-16-exclusive-features-iphone-xs-newer/
)。ですから、Appleが古い製品だからと言って何でもかんでも対応から除外してしまうわけでもありません(逆に、Appleが2020年まで廉価版として販売していたiPhone
8をiOS 16の対応リストから完全に除外していたら、また批判されたでしょう)。

■Macについて

今秋の登場が予定されているmacOS
Venturaでは、ここ最近のオペレーティングシステムに対応してきたたくさんの古いMacが対象外になります。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/mac-spreadsheet-1.png

まず2015年から2017年のMacBook
Airが対象外になるのが、大きな変化でしょう。Venturaは、2019年7月まで販売されていた2017バージョンも対象外としています。つまりmacOS
Venturaが公開される時、その販売時期の末期に購入された機種の3年間のAppleCare契約がちょうど期限切れになることを意味します。MacBook
Proも同様で、2017年の機種はほぼ同時期まで販売されていました。しかしMacにとって、3年はかなり短い寿命だったと言えるでしょう。

2013 Mac Proは、ちょっと異なります。Mac Proシリーズは、2019年12月まで新製品が発売されませんでした。現在のMac
ProはmacOS Venturaに対応しますが、この“ゴミ箱”型Mac
Proをその販売時期の末期に購入しているとするとVenturaが公開された時点でも3年間のAppleCare契約はまだ有効でしょう。“プロ”用Macと呼ばれるコンピュータが、販売終了から3年経たないうちにmacOSのアップデートから対象外になったら残念です(AppleがVenturaの公開時にはパッチされた脆弱性の全てをmacOS
Montereyでも同時にパッチしなければ、macOS
Venturaの公開時点でAppleCare契約がまだ有効なユーザから訴えられる可能性があります)。

Appleは、これまでのオペレーティングシステムでiPhoneやiPadに比べてMacに対してより多くのセキュリティパッチを公開していますが、それでオペレーティングシステムの既知のすべての脆弱性がパッチされたわけでもありません(
https://www.intego.com/mac-security-blog/integos-josh-long-speaking-at-obts-v4-0-mac-security-conference/
)。

AppleのMシリーズプロセッサのMacが将来のオペレーティングシステムにいつまで対応するのかも興味深いことです。多くのユーザにとってMシリーズプロセッサの能力は今後も長く使えるほど強力なので、私は約1年前に「永遠に使えるMac」と書きました(
https://www.intego.com/mac-security-blog/are-we-heading-towards-a-forever-mac/
)。しかし現実世界では、売上という問題があります。Appleは、こうしたMacもこれまで同様にどんどん対応から除外していくのでしょうか?

IntegoのチーフセキュリティアナリストであるJosh Longは、Appleがもうサポートしていない彼の15歳のiMac(Mid
2007)で現在のmacOSを実行しています(
https://act2blog.blogspot.com/2022/05/macos-montereymacmacos-monterey.html
)。つまり理論的に言えば、Appleは対応していない古いハードウェアでも、そのオペレーティングシステムを対応させることができるはずなのです。それはMacだけでなく、iPhone、iPad、そして他のApple製デバイス全般に言えることです

しかし、Appleは古いデバイスを重要なセキュリティやプライバシーの問題から守るより、ユーザに「より良い体験」を与えることに熱心なようです。

次のAppleの充分でないパッチポリシーによりユーザのセキュリティとプライバシーが危うい状態ですという記事も参照ください
https://act2blog.blogspot.com/2022/06/apple.html

■Apple Watch

最もひどい変更は、今年のオペレーティングシステムであるwatchOS 9の対応リストからApple
Watch Series 3を除外したことでしょう。Series
3は、今でも22,800円という破格の値段のスマートウォッチとして販売されています。しかし今日買ったスマートウォッチが、数ヶ月後に登場するオペレーティングシステムに対応しないと言うのは、控えめに言ってもひどい話であり好ましい商習慣とは言えません。

とは言え、デバイスの技術という点ではSeries
3は5年前の2017年に発売された古い製品であり、この製品を買う多くの人は最新製品に比べて機能が劣っていることは理解しているでしょう。Appleは、watchOS
8でもいくつかの拡散している脆弱性をパッチしましたが、元々Apple
Watchのセキュリティ上の脅威は多くありません。なのでセキュリティの問題はさほど問題にならないのかもしれませんが、今でも積極的に販売されている製品をAppleが一晩で旧式にしてしまうのはいただけません。

今後もAppleがwatchOS
8のセキュリティアップデートを公開するのか、今年の後半からセキュリティアップデートが提供されるのがwatchOS
9だけになるのかは、いずれわかることでしょう。Appleの過去の例で言えば、2020年にwatchOSのバージョン5、6、そして7のセキュリティアップデートが公開されたことがありますが、watchOS
8が公開されてからwatchOS
7のセキュリティアップデートは一度も公開されていません。

■iPod touch

Appleは、iOS 16の発表(
https://www.intego.com/mac-security-blog/apple-presents-macos-ventura-ios-16-ipados-16-and-new-macs/
)直前にiPod touchシリーズの販売を終了させましたので(
https://www.intego.com/mac-security-blog/requiem-for-the-ipod-intego-mac-podcast-episode-239/
)、ある意味では、AppleがiOS 16でiPod
touch(第七世代)に対応しないことに大きな衝撃はないでしょう。

しかし、これはAppleがiOS 13の公開直前にiPod touch(第六世代)の販売を終了して第六世代をiOS
12までしか対応させなかった時と似た状況にあるとも言えます。実際、どちらのiPodも新しいiOSバージョン公開の数ヶ月前に販売終了しています(Appleがこれまで同様にiOS
16を9月に公開する前提です)。この5月にiPod
touchを新品で買った人は、購入してから4ヶ月で今後はiOSのアップデートが提供されなくなると一ヶ月後に知ったことになります。

Appleが今後もiOS
15のパッチを提供しないのであれば(そして、多分提供しないのですが)、非常に短い猶予しかなかったということからAppleが訴訟の対象になるかもしれません。iOS
15は、iPhone 6および初代iPad Airなどいくつかのデバイスが対応する最後のiOSとなったiOS
12と似た終焉を迎えそうです。Appleは、iOS
12に対しては過去数年間に散発的なパッチを公開しただけなのです。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2021/10/iOS-14.8-patches-addressed-in-iOS-15-updated-20211028.jpg

上図は、2021年9月に当時サポート対象だったiOSバージョンに対して公開されたiOSのセキュリティ修正のリストです。Appleは、それ以降にiOS
12の脆弱性をパッチしておらず、10月以降にはiOS 14の脆弱性もパッチしていません。詳細については、この記事を参照ください(
https://act2blog.blogspot.com/2022/06/apple.html )

■計画的陳腐化なのか、古い技術の当然の引退なのか?

Appleが特定のデバイスを新しいオペレーティングシステムに対応させない理由は、幾つもあるでしょう。新機能がより高速なプロセッサやより多くのRAM容量やストレージ容量を必要とするのであれば、互換性を提供できないことに対して納得のいく説明もできるでしょう。しかし新しいオペレーティングシステムの主な目的の一つが、ユーザにそのデバイスを買い換えさせようすることにあるのも事実でしょう。

iPhoneは毎日持ち歩くため傷が付いたり劣化するので、そのユーザがMacやiPadよりも頻繁に製品を買い替える傾向にあるといった、また別の要素もあります。

とはいえ、Appleは持続可能化とさらに真剣に向き合い、デバイスを可能な限り使い続けられるように注力すべきです。例えば、デバイスのバッテリ能力の低下とデバイスに内蔵されたストレージの容量不足は解決できる可能性があることを、Appleはもっと啓蒙する必要があります。iPhone、iPad、そしてラップトップMacのバッテリをAppleが適正価格で交換していることを、多くの人は知りません。この事実を、もっと明快に周知する必要があります。デバイス内蔵のストレージについても同様で、AppleはデータをiCloudに保存することで内蔵ストレージに空きを作る方法についてユーザにもっと説明すべきです。デフォルトのiCloudストレージの容量を5GBより多くして、デバイス内から退避できるデータを増やしてみせることだってできるはずです。

しかし実際には、最新で最速で最も幻惑的なiPhone、iPad、あるいはMacのよくできた宣伝文句がユーザの注意を惹きつけるわけで、Appleは現在の「乗り遅れの恐怖」を煽るマーケティング手法を取り続けるでしょう。

一方で「乗り遅れることを気にしない」Appleユーザはアップグレードを見送ってしまい、気づかぬ内に危険なセキュリティおよびプライバシーの問題に直面させられることになるのです。

■お使いのMacは安全ですか?

Mac用のセキュリティソリューションを検討しているなら、ACT2の次のIntego製品ページで機能や目的に合った製品があるかご確認ください:
https://www.act2.com/intego