みなさん、こんにちは。
あっという間に 11月になってしまいましが、みな様お元気にご活躍のことと存じます。
さて、今回のメルマガは、Appleがついに iTunes を完全終了...? というお話です。
(この記事は、2023年10月24日にKirk McElhearn(https://www.intego.com/mac-security-blog/author/kirk-mcelhearn/)によってMac Security Blogに投稿されたApple is finally killing off iTunes—for real this timeの翻訳をベースにしています)
iMac、iTunes、iPod、iPhone、そしてiPadとという5つの製品名は、1997年にSteve Jobs氏が戻ってから世界で最も価値のある企業の一つにまで成長した現在のAppleの隆盛の源だと言って良いでしょう。これらの製品が、21世紀のテクノロジーの風景を定義して来たと言っても過言ではありません。しかし、どれだけ優れた製品も永遠に続くわけがなく、AppleはすでにiPodを引退させましたし、次はiTunesに終了の時が近づいているようです。
iTunesは、Appleのアプリの歴史の中で最も大事なものでしょう。2001年に登場したこのアプリが、Appleという企業のその後の形を決めたのです( https://www.intego.com/mac-security-blog/itunes-at-20-how-one-app-changed-apples-course/ )。当時すでに他の音楽管理アプリもありましたが、iTunesはすぐにCDをリッピングしたり、プレイリストを作成したり、CDを焼いたり、iPodとミュージックを同期したりするための定番アプリになりました。 この無料のアプリが普及したことで、Appleが音楽業界そのものを変革することになる世界レベルのミュージック市場を構築する企業になったわけで、iTunesがAppleのトロイの木馬であったとも言えるでしょう。
2019年にはMac用iTunesがいくつかのアプリに分解されましたが( https://www.intego.com/mac-security-blog/no-apple-isnt-killing-off-itunes/ )、その後もAppleはWIndows用iTunesアプリはそのまま維持してきました。しかし同社はWindowsでもiTunesをいくつかのアプリに分解する予定のようで、Microsoft Storeには“プレビュー”版のApple Music、Apple TV、そしてAppleデバイスが表示されています ( https://apps.microsoft.com/search/publisher?name=Apple+Inc.&hl=ja-jp&gl=jp )。ちなみに最後のアプリは、iPhoneおよびiPadとの同期を管理するアプリです。
これは、MacでiTunesがミュージック、TV、Podcast、そしてBooksアプリに分解されたのとよく似ています(Macではデバイスの同期はFinderで行われます)。なお、この記事を最初に投稿した数時間後に、Mac版では何年も前から可能でしたがWindows版では実現していなかったiTunesでPodcastおよびオーディオブックを聞く機能が含まれたiTunes for WindowsのアップデートをAppleが公開しました( https://support.apple.com/ja-jp/HT210384 )。これは、Appleがどこかの時点でWindows用にもPodcastとBooksアプリを公開するであろうことを予見させます。
しかしWindows用iTunesの引退は、誰もが親しんできたブランドの終了も意味しています。
◾ iTunes というブランド
iTunesは、コンシューマメディアの世界で最も知られたブランドの一つです。多くの人がiTunes Storeという正式名称は使わず、「iTunesで買った」とか「iTunesで借りた」と言います。完全に終了させるのは勿体無い気がしますね。これは世界中で使われているソーシャルメディアアプリを買収し、その名称をローマ字一文字に変更してしまうくらいに勿体無いことです...
会社によっては、特定のブランド名に蓄積された信用を気まぐれに捨て去ってしまうことがままありますが、Appleはそこまでやるつもりはないようで、デジタルコンテンツの販売にiTunes Storeという名称を残しています。Mac上のミュージックアプリからiTunes Storeを使えますし、iPhoneおよびiPadにはiTunes Store Appがあります。ただし、今もiTunes Storeで映画を買ったり借りたりできるものの、AppleではTVアプリで映画を買ったり借りたりして欲しいわけで、両方のアプリで機能が重複した状態になっています。
iTunesブランドとしては、当面ミュージック用のiTunes Storeが残るでしょうが、人々は以前ほどミュージックを買わず、すでにストリーミングに移行しています。
ミュージックの売り上げが衰えるに連れ、iTunesの名称も自然消滅するのでしょうか。デジタルミュージックを買う人がどんどん減っているのは事実ですが、Appleがすぐにその販売を完全に終了させてしまうとは考えにくいでしょう。その市場が今すぐになくなってしまうわけではないからです。全世界のストリーミングを除くデジタルミュージックの売り上げは2012年の約44億ドルを頂点に、2021年には11億ドルまで落ちてしまいました。これは75%の落ち込みなんですが、Appleが今でもかなりの金額をデジタルミュージックの販売で稼いでいるだろうことも推測できます。
( https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2023/10/digital-music-sales.png )(Source: Statista= https://www.statista.com/statistics/263109/global-digital-music-revenue/ )
RIAA(アメリカレコード協会)によれば、2022年の米国のデジタルミュージックの販売は4億9,500万ドルほどだそうです。同協会のアニュアルレポート( https://www.riaa.com/wp-content/uploads/2023/03/2022-Year-End-Music-Industry-Revenue-Report.pdf )によれば、米国における音源の売り上げに対する“ダウンロード”の比率は、2012年の43%から2022年には3%まで落ちているということです。ちなみに、2022年の音源の総売り上げは159億ドルに達しています。
( https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2023/10/riaa-pie-chart.png )(Source: RIAA PDF書類= https://www.riaa.com/wp-content/uploads/2023/03/2022-Year-End-Music-Industry-Revenue-Report.pdf )
一方で、Apple MusicやApple TV+のサブスクリプション、App Storeの売り上げ、そしてミュージックの売り上げを含むAppleのサービスの売り上げは、2023年8月の同社の直近四半期全売上の26%になります。これは210億ドル以上、あるいはたった四半期の金額なのにすでに全世界のデジタルミュージックの年間売上額の19倍なのです。そう思うと、Appleが近い将来にデジタルミュージックの販売を終了し、iTunesという名称を公式に引退させるということもあり得るように思えてきます。
( https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2023/10/august-quarter-breakdown.png )(Source: Six Colors= https://sixcolors.com/post/2023/08/charts-apple-q3-2023-results/ )
◾ iTunesの終焉
iMac、iTunes、iPod、iPhone、iPadというい5つの名称は、それぞれがAppleの成長の節目を表します。その内の一つはすでに引退し、もう一つももうすぐ終了します。この中で最も新しいiPadは2010年の発売ですが、その後はこのリストに追加できるほどのインパクトがあるApple製品は登場していません。
Appleは、もうi製品を発売していません。最後のiBookが出たのは2005年で、現在ではPages、Numbers、そしてKeynoteという生産性アプリにiWorkという総称を、クラウドストレージシステムの心臓部の名称としてiCloudが使われているだけです。その後の新しい製品やサービスの名称には、Apple TV、Apple Music、Apple WatchなどAppleが付いています。こうした名前は、ブランドとしては無難すぎると言えるでしょう。ウェアラブル端末の名称としてWatchという単語の前に会社名を付けたり、ストリーミングサービスの名称としてMusicの前に会社名を付けるくらいにそそられない名前があるでしょうか。普通の名詞に会社名を形容詞的にくっつけると凡庸な名前になるという見本と言えそうです。
一方、iTunesはまるで魔法のような名前でした。音楽世界の扉を開き、人々に音楽をリッピングしたりミックスしたりCDに焼き付けたりさせた名前です。20世紀で最も影響力のあるポータブルミュージックプレイヤーにミュージックをコピーできたのです。クリック一発で最新のミュージックを手に入れることができるストアも作り上げました。しかし、すべてのものに終わりは来ます。そして今、iTunesを見送る時が来たのでしょう...
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