2022年10月18日火曜日

航空会社がApple AirTagを禁止? その詳細とは...


 

今日の内容は、実にタイムリーな、旅行に関係のあるトピックです。


ちょっと長い内容ですが、とても興味深い内容です。ご覧いただいたお礼に、

最後にクーポンコードを載せておきますので、ぜひご利用ください。


(この記事は、20221012日にJoshua Longhttps://www.intego.com/mac-security-blog/author/joshlong/)によってMac Security Blogに投稿されたAre airlines banning Apple AirTags? Here’s the complete storyの翻訳です)

 

先週、ドイツの航空会社であるルフトハンザがAppleAirTagトラッキングデバイスを禁止するとの噂が広まりました( https://www.intego.com/mac-security-blog/topic/airtags/ )。AirTagは、荷物や色々なものの場所を特定するためによく使われています( https://www.intego.com/mac-security-blog/16-things-you-can-track-with-airtags/ )。

 

ルフトハンザ航空の認証済みTwitterアカウントからの返信ツイートによって、この噂の内容は事実であることが確認されました。ツイートによればアクティベートされたAirTag”危険物に分類されるということです。

 

ところが航空雑誌の一誌は、ルフトハンザから内々にほぼ反対の内容を伝えられたともしています。

 

どちらが真実なのでしょうか? 航空会社はAirTagを禁止するのでしょうか? AirTagは危険なのでしょうか?

 

弊社では、ルフトハンザおよび航空輸送標準化団体にコメントを求めました。この記事では、その経緯を説明したいと思います。

 

背景

 

108日の土曜日、一人のTwitterユーザがルフトハンザに航空会社がAirTagを禁止するとの噂は本当なのか質問しました。ルフトハンザのソーシャルメディア担当者の一人が次のように回答しました:

 

    Hi David, Lufthansa is banning activated AirTags from luggage as they are classified as dangerous and need to be turned off./Mony(アクティベートされたAirTagは危険物に分類されるためルフトハンザはアクティベートされたAirTagを禁止します。ですので、AirTagの電源を切っておく必要があります。)

https://twitter.com/djthomashome/status/1578866150993428480

 

次の日、別のTwitterユーザがなぜルフトハンザがAirTagを危険物と見做すのか質問しました。ルフトハンザの別のソーシャルメディア担当者が次のように回答しました:

 

    According to ICAO guidelines, baggage trackers are subject to the dangerous goods regulations. Furthermore, due to their transmission function, the trackers must be deactivated during the flight if they are in checked baggage and cannot be used as a result. /AnaICAOのガイドラインによれば、荷物のトラッカーは危険物の規則の対象となります。さらに、トラッカーには送信機能があるため、受託手荷物内にトラッカーがある場合は電源を切っていなければなりません。)

https://twitter.com/Autopilotuser/status/1579074273049980928

 

これらの公式見解では、ルフトハンザによるICAOの技術仕様の解釈に基づきルフトハンザはAirTagを禁止することにしたように思われます。ICAO(国際民間航空機関)は、飛行の安全などの標準化を行う国連機関の一つです。

 

同時にAirways Magazine誌がAppleAirTagトラッカーが禁止されるという複数の報告に関して確認または否定するかをルフトハンザに問い合わせました( https://airwaysmag.com/lufthansa-not-bannig-airtags/ )。ルフトハンザは、次のように同誌に回答したとされます:

 

    … (ルフトハンザは)AirTagを禁止していませんし、ルフトハンザにはAirTagを禁止するガイドラインや規則もありません。ICAOには、確かにこのようなデバイスを規制する現行の規定がありますが、それはルフトハンザや他の航空会社とは関係がありません。

 

このAirways誌に対する非公式の回答を見ると、ルフトハンザ自体はAirTagを禁止していないようです。ただし、ルフトハンザはAirTagICAOの安全基準に反すると考えているように見受けられます。

 

ICAOが本当にAirTagを危険物に分類しているなら、AirTagは全ての航空会社で許可されないはずです。

 

Airways誌の記事では、それ以上ICAOには触れられていません。しかし、別の標準化団体であるIATA(国際航空運送協会)が登場します。IATAは、荷物として運べるものと運べないものの規則を作り、その内容を“Dangerous Goods Regulations”マニュアルに掲載しています。

 

ルフトハンザの公式および非公式コメントは互いに相容れない内容ですし、さらに二つの標準化団体も登場してきましたので、私はこの3者に連絡を取りコメントを求めることにしました。

 

●Integoに対するルフトハンザの公式声明

 

1011日、ルフトハンザのコーポレート・コミュニケーション・シニアマネージャーが私の問い合わせに答えてくれました。以下がルフトハンザによる声明の全文です:

 

    The Lufthansa Group has conducted its own risk assessment with the result that tracking devices with very low battery and transmission power in checked luggage do not pose a safety risk. We have never issued a ban on devices like that. It is on the authorities to adapt regulations that right now limit the use of these devices for airline passengers in checked luggage. We are in close contact with the respective institutions to find a solution as quickly as possible.(ルフトハンザ・グループで独自のリスクアセスメントを実施した結果、受託手荷物内のバッテリ容量も送信電力も少ないトラッキングデバイスは安全上のリスクにならないと結論しました。弊社がこうしたデバイスを禁止したことはありません。航空機を利用するお客さまの受託手荷物内のこうしたデバイスの利用を制限する規則は存在しますが、それを適用するかどうかは当局の判断となります。できるだけ早急に解決策を見出すべく、弊社は各機関と密に連絡を取り合っています。)

 

    I kindly ask for your understanding that all questions regarding ICAO and IATA guidelines should be addressed to these respective bodies.ICAOおよびIATAのガイドラインに関しては、すべてそれぞれの団体にお問合せいただければ幸いです。)

 

つまり、ルフトハンザはAirTagを禁止したことがないというAirways Magazine誌に語った内容が再確認された形となります。ルフトハンザでは、AirTagが「安全上のリスクにならない」としているのです。

 

でも、これは同社のソーシャルメディア担当者によるTwitterでの発言と真逆のように思われます。もっとも、公には名前しかわかっていないソーシャルメディアアカウントの担当者よりも、コーポレート・コミュニケーションのシニア・マネージャーの言葉の方が信用できると考えるのが普通でしょう。

 

興味深いのは、ルフトハンザがAirTagを禁止していないことを再度確認してから、「...航空機のお客さまの受託手荷物内のこうしたデバイスの利用を制限する規則は存在...」と言っていることでしょう。つまり、ルフトハンザは「受託手荷物内のAirTagが安全上のリスクにならない」と考えていながら、同時にAirTagが現行の安全基準に違反しているとも考えているのです。

 

●Integoに対するIATAの公式声明

 

続いて、1011日のIATAのコーポレート・コミュニケーション・スポークスマンから回答がありました:

 

    There are no specific regulations for AirTags. As they contain lithium batteries and emit a continuous Bluetooth signal, AirTags and other baggage tracking devices fall under the category of personal electronic devices (PED) for regulations concerning their carriage by travelers. The PEDs category also includes mobile phones and tablets which have similar characteristics but with significantly more powerful batteries.AirTagを明示的に対象とする規則はありません。AirTagおよびほかの荷物トラッキングデバイスは、リチウム電池を内蔵し、常にBluetooth信号を発信していますので、旅行者の荷物に関する規則における個人用電子機器(PED)に当てはまります。PEDカテゴリには、同様の機能を持ち、より強力な電池を内蔵する携帯電話やタブレットなどが含まれています。)

 

    The International Civil Aviation Organization sets global standards for the carriage of dangerous goods. Currently these regulations do not permit the carriage of PED in checked baggage unless the PED is completely turned off.(国際民間航空機関では、危険物の輸送に関する世界標準を設定しています。現在、こうした規則ではPEDの電源が完全に切れていない限り、受託手荷物内のPEDを輸送することは許可されません。)

 

    The potential safety risks of AirTags, however, appear to be minimal. Trackers contain very small lithium-ion batteries, and the Bluetooth emits a level of electromagnetic radiation that is below the threshold specified by the US Federal Aviation Authority (FAA) and the European Aviation Safety Agency (EASA) for safety concerns.(ただし、想定されるAirTagの安全上のリスクは非常に小さいと考えられます。トラッカーのリチウム電池はとても小さく、発信されるBluetooth信号のレベルも米連邦航空局(FAA)および欧州航空安全機関(EASA)による安全性の懸念に関する電磁放射線の数値より低いものです。)

 

    Industry consensus is building towards exempting Air Tags [sic] and other trackers provided that the lithium cell does not exceed a certain level and the tags only use Bluetooth. IATA will request the immediate consideration of this by the ICAO Dangerous Goods Panel which will meet next month (November 2022)(業界の考えは、リチウム電池が一定のレベルを超えず、タグもBluetoothしか使わない前提で、AirTagおよびほかのトラッカーを除外する方向で一致しています。IATAでは、この内容が来月(202211月)に開催されるICAO(国連・国際民間航空機構)の危険物パネルによって速やかに取り上げられるよう要望しています。)

 

IATAの声明で、この問題がグッと分かりやすくなりました。全体としてAirTagが特に危険ではないという理解がある一方、技術的に言えば現行の基準ではスマートフォンやタブレットといったより大きな電池を内蔵するデバイスと同様に扱われているというわけです。ちなみに、AirTagは普通の腕時計でよく使われているCR2032という小さなコイン電池を使っています。

 

IATAが早々に来月(202211月)のICAOの危険物パネルで該当する規則を更新するよう要望すると言っているのは特筆に値します。

 

●Integoに対するICAOの公式声明

 

1012日の朝、ICAOのコミュニケーション・オフィサーから次の回答がありました:

 

    Although ICAO is a standard setting body, under the 1944 Convention on International Civil Aviation the regulation of air transport remains a sovereign state responsibility. Governments enhance the safety of the global flight network as a whole by agreeing on common standards through ICAO, which they then transpose into their national regulatory frameworks.ICAOは基準設定団体ではありますが、1944年の民間航空に関する条約では航空輸送の規則は主権国家によって定められるとなっています。各国政府は、ICAOを通して共通基準に同意することで世界的な航空ネットワーク全体の安全を強化し、それぞれの国の規制の枠組みに反映させます。)

 

    As such, ICAO is not in a position to comment on the implementation or interpretation of ICAO specifications by states or by the operators they regulate.(ですので、ICAOは国あるいは対象となるオペレータによるICAOの規則の運用や解釈についてコメントする立場にありません。)

Having said that, we are in a position to provide you with our technical specifications.(とは言え、我々は皆さんに技術仕様を提供する立場にあります。)

    The broad principles governing the international transport of dangerous goods by air are contained in Annex 18 to the Convention on International Civil Aviation —The Safe Transport of Dangerous Goods by Air.{航空機による危険物の国際的な輸送を規制する一般的な原則は、民間航空に関する条約に対する別紙 18 https://www.icao.int/safety/DangerousGoods/Pages/annex-18.aspx )に含まれています—The Safe Transport of Dangerous Goods by Air https://www.icao.int/safety/DangerousGoods/Pages/annex-18.aspx )。}

 

    The ICAO Technical Instructions For The Safe Transport of Dangerous Goods by Air (Doc 9284) amplify the basic provisions of Annex 18 and contain all the detailed instructions necessary for the safe international transport of dangerous goods by air.ICAOの航空機による危険物の安全輸送に関する技術指針(Technical Instructions For The Safe Transport of Dangerous Goods by Air (Doc 9284) https://store.icao.int/en/technical-instructions-for-the-safe-transport-of-dangerous-goods-by-air-doc-9284 )は、別紙18の基本規定を詳説し、航空機による危険物の国際的な安全な輸送に必要な詳細なすべての指示が含まれています。}

 

    I would like to draw your attention to the attached excerpt from this Document.(この書類の抜粋を添付したので、参照ください。

https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/10/20221011-Extract-ICAO-TI-Table-8-1.png

 

    I hope this is helpful to you.(これがお役に立てば幸いです。)

 

添付された抜粋は次のとおりです:

 

ICAO TI 8.1からの抜粋

https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/10/20221011-Extract-ICAO-TI-Table-8-1.png

 

この抜粋には、危険物としてリチウム電池が掲載されています。画像内の「restrictions(制限)」列で強調した部分には次のように書かれています:

 

    [携帯用電子機器に内蔵された電池は、機内持ち込み手荷物として輸送しなければなりません。ただし] 受託手荷物として輸送する場合は:

    — 意図しないアクティベートを防ぎ、デバイスを損傷から保護する対策を施し、かつ

    — デバイスは完全に電源が切れていなければならない(スリープや休止状態ではない);

 

つまり、こうしたICAOの指針を厳密に解釈すると、受託手荷物内のアクティベートされたAirTag危険物の安全基準に違反するのです。しかし、この規則の適用あるいは解釈はICAO自体がするのではなく「国あるいは対象となるオペレータ」の判断に任されているわけです。

 

ルフトハンザを通したドイツ連邦航空局の声明

 

1012日の午後、ルフトハンザのコーポレート・コミュニケーション・シニアマネージャーから再度連絡があり、追加のコメントをいただきました:

 

    受託手荷物内の非常に小さい電池および小さい送信電力のトラッキングデバイスは安全上のリスクとならないという弊社のリスクアセスメントをドイツ航空当局(連邦航空局)が共有することを確認しました。ですので、ルフトハンザの飛行ではこうしたデバイスは許可されます。

 

ルフトハンザの公式で認証済みTwitterアカウントの一つで、同様の声明が公開されました:

https://twitter.com/lufthansaNews/status/1580275638690541568

 

念のためですが、ルフトハンザはドイツの航空会社です。これで、ドイツの当局がAirTagは安全上のリスクとならないことを認めましたので、ルフトハンザは自信を持って受託手荷物でもAirTagが許可されると言えたわけです。

 

●AppleFAATSA、そしてEASAの視点

 

本記事を執筆中の今日公開されたNew York Times誌の記事( https://www.nytimes.com/2022/10/12/travel/lufthansa-apple-airtags-luggage.html )によれば:

 

    Apple [said] its trackers comply with all airline safety regulations.Appleは、同社のトラッカーが航空会社のすべての安全基準を満たすと発言した。)

 

    In the United States, that was confirmed by the Federal Aviation Administration [FAA] and the Transportation Security Administration [TSA]. The European Union Aviation Safety Agency [EASA] said that its regulation did “not in itself ban or allow” the trackers, but that operators had the right to determine which devices were safe to use in flight.(米国では、これが連邦航空局 [FAA] および運輸保安庁 [TSA] によって裏付けられました。欧州航空安全機関 [EASA] は、その規則がトラッカーを禁止したり許可するものではないとし、デバイスを飛行中に安全に使用できるかどうかはオペレーターが判断するとしています。

    …

    An F.A.A. advisory from 2017 https://www.faa.gov/documentLibrary/media/Advisory_Circular/Editorial_Update_AC_91.21-1D.pdf allows devices to use low-powered wireless communication like Bluetooth on board planes in the United States. In a statement on Monday, the Transportation Security Administration confirmed Apple’s view that “tracking devices are allowed in both carry-on and checked bags.”2017年のF.A.A.の勧告によって、Bluetoothのような低電力ワイヤレス通信を使うデバイスは米国内の航空機で許可されています。運輸保安庁は、月曜日の声明でAppleによる「トラッキングデバイスは持ち込みおよび受託手荷物の両方で許可される」との考えを支持しました。)

 

そして、先週の金曜日にTSAのソーシャルメディア担当者の一人が少なくとも米国では「ワイヤレスのトラッキングデバイスは手荷物および受託手荷物の両方で許可される」とコメントしました。

https://twitter.com/leoll1234/status/1578157136822996992

 

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