絶妙なタイミングで登場した「パラレルス Desktop 10」
現在、これを書いている私の手元にあるものはリリース直前の RC 版(Release Candidate = リリース候補版)。実際リリースされるものとそう違わないはずなので、これをもとにファースト・インプレッションをお届けしたく。
テストの前に、気にしなければならないこととして、「自分のマシンでも動くの?」という動作環境の確認から。これがはずれるとガックリくるので。
【まず、動作環境の確認(および ※ 私見補足)】
■ CPU:
Intel Core 2 Duo 以上
※ ややこしいですが Core Duo は対象外ですのでご留意を。(パラレルス Desktop 9 でもすでにこの条件でした)もっとも、Core Duo は 2006 年 1 月に発表され、Core 2 Duo は同年 7 月に発表されているので、私自身、Core Duo のマシンの記憶があまり定かではない… さらに、2008 年暮れにはすでに Core i シリーズが出荷になっているので、(Mac に採用されたのがいつだったか正確な記憶が無いが)パラレルスの最新版を入れようと思われるユーザさんのマシンなら気にすることはないと思う。
■ RAM:
2 GB 以上
※ 注釈として「Windows 7 以降を実行する場合や、ホスト OS が Lion 以上の場合は 4 GB 以上を推奨」となっているが、これも同上で、みなさんのマシンはたぶん 4 GB 以上でしょうから、気にすることはないでしょう。
■ Mac OS:
※ これはちょっと要注意。
OS X 10.7.5 (Lion) 以降が条件になっています。パラレルス・デスクトップ 9 では 10.6.8(Snow Loepard)は OK でしたが、今回から対象外ですのでご注意を。
■ ハードディスク容量:
パラレルス Desktop 10 自体のインストールに 850 MB、あとは仮想マシン用の空き領域が必要。
※ 仮想マシンとして何を入れるかにもよりますが、まあ、おおよそ数十 GB くらいの空き要領は必要と思われます。この点はしかし、MacBook Air のように SSD マシンでは切実な問題なので、後日ロードテストで具体的な数値をレポート予定。
【次に、何がスゴイか ? PD10 の特徴(および ※ 私見補足)】
Parallels 社のテクニカル・ノートから、以下、項目抜粋。
■ Mac OS X 10.10 (Yosemite) に対応予定。
※ 現段階では Yosemite 自体が正式リリースされていませんので、こういう表現ですが、要するに、必ず Yosemite に対応する、ということです。(実際 Yosemite の評価環境でしっかり動いています)
※ 記述によれば、iCloud ドライブと Photo ライブラリをサポートし、また、電話番号の上で右クリックすれば iPhone 経由で電話をかけることが可能… Hmmm… 私の CPU(頭)では実体がイマイチよくわからない… あとでトライしてみることにします。
※ また、Windows 仮想環境から iMessage/SMS でテキストメッセージを送信可能。Windows 主体で使用される方には重宝する機能。
※ それから、Mac の Finder/Spotlight から仮想マシン上に保存したファイルも検索可能。これは良い!実は以前からこれができたらいいなぁ、と思っていた機能。
■ 16 CPU, 64 GB RAM までサポート。
※ これは強烈。ただし、1仮想マシンに割り当てる CPU 数を増やせばそれに比例してパフォーマンスが上がるわけではなく、いろいろな条件によって左右される。このあたりも後日ロードテストでレポート予定。
※ Mac Pro でぶんまわしてみたい。後日レポート。
<2014年8月27日追記>
上記の機能は、今回検証をしていたRC版(リリース前のバージョン)では搭載されていましたが、正式リリース後は modern.IE Test Environmnents として、Windows 各バージョンと Internet Explorer で Web サイトをテストしていただくための機能となったようです。英語版の Windows と Internet Explorer を最大90日間試すことができます。
■ 実現された二種類の最適化
※ 一つは仮想マシン自体の領域をリアルタイムに最適化する機能。一方、利用スタイルに合わせて4つのパターンから選択して最適化される機能。(これらについては次号で詳細をレポート予定)
■ コントロールセンター
※ 従来の「仮想マシンリスト」の発展型。後述。
■ 新規仮想マシンウィザードから Boot Camp を利用して仮想マシンを作成。
※ これは PD9 にも搭載されていた便利機能。
■ 仮想マシンの利用目的に合わせた、リアルタイム パフォーマンス チューニング。
※ これは奥が深そう。詳細なロードテストを要する。
■ ゲスト OS の作成が、ドラッグ&ドロップだけで可能。
※ 便利になったものです。「こんな簡単でいいのか!」そんな感じです。
■ command + tab で仮想マシンを選択可能
※ 後述。これは便利。
■ Dock に入れた仮想マシンにファイルをドラッグ&ドロップすると、その仮想マシンおよび対応アプリが自動起動。
※ 後述。これも便利。
■ Windows 版 Outlook を使用している際に、未読メール数が Dock に表示される。
※ 私は Outlook は使っていない…. が、Outlook ユーザさんには明らかに便利な機能。
■ 特殊文字も仮想環境へペースト可能。
※ 特殊文字の問題はやっかいだった。この改善はうれしい。
■ MacBook Air や MacBook Pro において、バッテリー持続時間が約 30% 長持ち。
※ PD9 の際に 25% up したはずなので、今回のを合わせると、昔の PD8 からすると相当長持ちするということか。今回 PD8 もアップグレードの対象になるようなので、PD8 ユーザさん是非 UG しましょ。(アップグレードはダウンロード形式で Parallels 社のサイトでのみ可能の予定です)
■ Windows でドキュメントを開く際のスピードが 48% アップ。
■ Windows 起動および終了時の速度を最大 20% 高速化。
■ 仮想環境のメモリ使用量を約 10% 低減。
■ スナップショットの操作を最大 60% 高速化。
■ Linux の仮想マシンでも自動的に Parallels Tools がアップデートされる。
■ ローカルと外部クラウド・ストレージに保存されているファイルの重複を避ける最適化機能。
と、盛りだくさんのフィーチャーである。
【では、実際にインストール】
今回使用するマシンの仕様は以下の通り:
MacBook Air 13’ 2013 年 MID モデル
CPU:Core i7 1.7GHz
RAM:8 GB 1600 MHz DDR3
GPU:Intel HD Graphics 5000
ストレージ:SSD 330 GB 空き
OS:OS X 10.9.4
※ act2 技術部にあるテスト用マシンではなく、あえて自分で普段使用しているマシンでテスト。いろいろなソフトが入っていますが、テックツールプロと Washing Machine で定期的にメンテナンスしてありますので、まあまあ、クリーンな状態と言えると思います。ウイルスバリアも入っていますのでへんなものが混入していること もありません。みなさんと同じ「クリーンな普段着」といったところです。
※ Mac OS 側では、まず、余計なソフトを起動せず、最低限必要なものとして、CPU やメモリの状態をモニタリングするために「アクティビティモニター」と、画面ショットを撮るために Little Snapper だけを起動した状態でテストを実行。もちろん、ウイルスバリアやネットバリアなどバックグラウンドで動いているサービスは通常通り起動した状態にて。
さて、インストーラをクリック:
インストール自体は簡単ですが、入力が必要な場面が2つあり。
最初の一つは Parallels クラウドマネジメント(私が勝手につけた呼称..)への登録:
次に、ライセンスキーの入力:
これだけです。
※ ちなみに、パラレルス Desktop は Finder で見ると、「アプリケーション」フォルダに "Parallels Desktop.app” という名前で保存されています。パラレルス Desktop 9 を残したまま パラレルス Desktop 10 をインストールしたかったので、"Parallels Desktop.app” の名前を変えておき、インストールしたのですが、案の定というか、パラレルス Desktop 9 は上書きされて、 "Parallels Desktop.app” という名前の パラレルス Desktop 10 だけが存在します。ちゃんとソフトウェアの実体をチェックしてインストールしていることがわかります:
【さあ、起動!】
【ユーザビリティ面からのインプレッション】
★ 起動と同時に Control Center(コントロール・センター)が開く。
これは従来の「Parallels 仮想マシンリスト」。ルックスがとても洗練されている。
このテストマシンには仮想マシンは一つしか入っていないので、一つしかリストされないが、他の仮想マシンを構築していけば、この下に全てリストアップされる:
これは従来の「Parallels 仮想マシンリスト」。ルックスがとても洗練されている。
このテストマシンには仮想マシンは一つしか入っていないので、一つしかリストされないが、他の仮想マシンを構築していけば、この下に全てリストアップされる:
お月さまのアイコンは「サスペンド」状態を示す。
実行中は仮想マシンの現在の画面イメージが縮小されて表示される。
よく見てみると画面イメージはリアルタイムに投影されていておもしろい。
ミニ Tips ------------------------------------------------
(詳しい方は飛ばしてください)
Parallels Desktop 自体とその上に構築された仮想マシンは完全に別管理されているため、Parallels Desktop をアップグレードしても仮想マシンを再インストールする必要はありません。すでに構築済みの仮想マシンがそのまま使われます。上の例がそれにあたります。この Windows 8.1 仮想マシンは Parallels Desktop 9 で作成したものです。
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★ とりあえず、Parallels Desktop 10 の「環境設定」を載せておきます:
仮想マシンの Dock アイコンというのが新鮮。
ショートカット系はここで設定できる。
すでに Parallels Access を持っていれば自動的に認識される。
このアイコンをクリック
左側のメニューエリアにはさまざまな項目が存在し、
使い勝手やパフォーマンスを左右するものも多い。
下のハードウェアオプションも同様。
Control Center になって、管理操作性が格段に良くなった。ロジカルで分かりやすく、またデザインも Mac らしく好感が持てる。
★ ものぐさな私が気になっていたことの一つに、command + tab の件。従来は 「Parallels Desktop」を選んでいたわけだが、今回から直接仮想マシンを選択できる:
Windows XP と Windows 7 など、複数の仮想マシンを同時に起動している場合にはさぞかし便利。
★ Dock に仮想マシンを入れておき、そこへファイルをドラッグ&ドロップすると、その仮想マシンが起動してさらに対応アプリケーションで開く… これも便利。Excel の表を Mac の Excel ではなく Windows の Excel で開きたい時ってよくありますものね。結局、Mac と Windows の間にあるフォントの壁はなくなりそうにありませんし…
右から4つめが Windows 8.1 仮想マシン
画像右上の Excel のファイルは Mac の Excel で作成したファイル
これを Dock 内の Windows 8.1 にドラッグ&ドロップする
注)仮想マシンがアクティヴまたはサスペンド状態であれば
仮想マシンが起動し対応するアプリによって開かれた。
仮想マシンがシャットダウンしている状態では
起動時にサインインプロセスがあるため一発で開くことは不可。
★ 表示モード:
従来通り、
- ウインドウ モード
- フルスクリーン モード
- コヒーレンス モード(シームレス/混在モード)
が快適に動く。
私はもっぱらフルスクリーン モードを使っている。Mission Control で専用画面を与えておいて control + アローキー で瞬時にフルスクリーン Windows に切り替える。なぜか PC 専用機のように使うほうが個人的にはしっくりくる。なのに Boot Camp を使わない理由は後述。
★ 全体の UI の印象として:
さらに洗練されて Mac のソフトウェアらしさが増している。
UI デザインはファンクション(機能)と同じほど重要だと思う。
今後はさらにデザインの重要性は増していくと思う。
そうした意味からも、今回のバージョンは、私は高く評価したい。星5つあげてもいい。
【パフォーマンス面からのインプレッション】
このテストマシンに入っている仮想マシンは Windows 8.1 だけ。起動、サスペンド、シャットダウン、また起動... 繰り返し...
★ なるほど... 確かに全ての動きが 9 より軽い... この違いは体感できます。仕様書では「最大 20% 速く」と記されていましたが。
★ 仮想マシン(Windows 8.1)でいろいろアプリケーションを起動。とりあえず、IE, Excel, Word...
この仮想マシンは特別なチューニングはしておらず、ほぼデフォルトのまま。しかし、この程度のアプリ使用ならばストレスなく使うことができる。
タスクマネージャーで負荷状況を見てみる。アプリ起動時は瞬間的に負荷がかかるがすぐに落ち着いて快適に使用できる:
この時、Mac OS 側の負荷はどうか、Mac のアクティビティモニターでチェック:
タスクマネージャーで負荷状況を見てみる。アプリ起動時は瞬間的に負荷がかかるがすぐに落ち着いて快適に使用できる:
この時、Mac OS 側の負荷はどうか、Mac のアクティビティモニターでチェック:
Windows 仮想マシンはおおむね 10% ほどしか使用していない
★ さて、ここで、今度は、Window 仮想マシンをアクティブのまま放置し、Mac OS 側で諸々のアプリを実行してみることにする:
Safari, Firefox, Chrome, Photoshop, FileMaker...
こんな状態だが、特にストレスは感じない。アクティビティモニターで確認してみる。
仮想マシン(Windows 8.1)はアイドル状態で、CPU の使用率は 8% ほどしかない。メモリ負荷も小さい。非常に安定している。どのアプリもキビキビと動く。
ゆえに、普段から仮想マシンを起動した状態にしておいてかまわない。むしろ Windows の更新が自動でかかっていくので、いざ Windows を使おうとした際に、瞬時に最新の状態の Windows を使うことができる。「更新」処理で待たされることがない。Boot Camp 使用時の問題の一つは、切り替えても必ずと言っていいほど、まず「更新」処理で待たされること。Boot Camp にはかわいそうだが Windows OS の問題のために、そのストレスはとても大きい。(これについては別トピック「私が Parallels を使う理由」を参照)
以上。
ピンポイントのインプレッションですが、ユーザビリティ面からも、パフォーマンス面からも、確実に進化していることを体感。また、なにより Yosemite 対応は大きいですよね、Yosemite を予定されている方はぜひ 10 へのアップグレードをおススメします。PD9 を見送った PD8 のユーザさんは本当にアップグレードのチャンス。ぜひ Parallels サイトからアップグレードしてください。
追記情報:
【PDE ユーザの皆様へ】
現行の PDE (Parallels Desktop for Mac Enterprise) をご利用中のユーザ様は8月20日にご案内のメールが届くと思います。(無償でアップグレードしていただけます)
PDE ならでは機能はそのままにベースが Desktop 10 にアップグレードされます。
【既存の Windows 8.1 仮想マシンをお使いの方へ】
今回の私のテストがこれに該当するのですが、Parallels Desktop 10 をインストールした後、仮想マシンに Parallels Tools を再インストールする必要がありました。しかし、メニューには「Parallels Tools を再インストール」とは表示されず、「Parallels Tools をインストール」と表示されます。この場合、そのまま実行してください。CD を要求するダイアログが出ますが、それもそのまま続行してください。そして、Explore の管理セクションを見ると 「DVD (D:) Parallels Tools」というデバイスがマウントされていますので、それを実行してください。
もしうまくいかない、またはよくわからない場合は act2 サポートへご連絡ください。
【最後に】
Mac 用の仮想環境は Parallels Desktop の他にも VMware FUSION や Virtual Box が存在します。「Mac で Windows を実行する」という目的だけを考えれば、これらどれを選んでも実現できます。
「Mac で Windows」をされるユーザさんは3つのタイプに分かれると考えられます:
- Mac も Windows も両方バリバリ使うパワーユーザさん(開発やシステム管理含む)
- 基本 Mac なんだけれど、会社が Windows なんで… というユーザーさん
- Windows から Mac にスイッチしたんだけれど Windows がないと不安… というユーザーさん
これらどのタイプのユーザーさんにも、Parallells Desktop は良い選択だと思います。
act2 は以前は VMware FUSION を販売していました。「コンピュータの仮想化」という非常に大きなくくりで考察するならば VMware 社の功績はコンピュータ自体の開発と同じほどの重みがあります。
しかし、こと Mac OS というくくりで見た場合、Parallels 9 あたりから Parallels 社の Mac OS へのコミットのし方が際立って見えます。それは、Parallels Desktop の Mac への「これでもか」というほどの細かなチューニングと UI デザインワークにも見てとれますし、また、Parallels Access(過去トピック「iPad にこんなアイコンが!-Parallels Access」参照)という iOS へのアプローチにもよく表れていると思います。
最後の最後に act2 の宣伝になってしまって恐縮なのですが… (^^
わたしたちは、VMware FUSION や Virtual Box、そして Parallels Desktop と、Mac OS の仮想環境を経験し、検証し、サポートしてきました。(Virtual Box のサポートはしておりません)今後もさらに深く、広くサポートしていこうと思っています。
Mac の Virtualization なら act2 へ。経験豊富なスタッフがケアいたします。
Parallels Desktop のご購入は「act2 サポート付き」の act2 ストアで!
よろしくお願い申し上げます!
- MK ;-)
余談:
Parallels Desktop 98 ?? これに気付いたのは世界で私だけ!?
この画面ショットご覧ください:
ムムム。。こんなバージョンがあったのか〜?!(うそ、あるわけない)
ご担当の方の苦悩がわかります、Desktop 9 と 8 が混乱したのか、はたまた Windows 98 が頭をよぎったのか… 真相は間違いなく単なるタイプミスだと思いますが、ついクスッとしてしまいました!
愛すべき Parallels のエンジニアの皆さんへ、心より敬意を表し...
"Nice job!!” ;-)