2022年7月6日水曜日

M1あるいはM2 MacでWindows 11を無料で使う方法〜IntegoTips〜

 

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M1あるいはM2 MacでWindows 11を無料で使う方法

(この記事は、2022年6月30日にKirkMcElhearn(https://www.intego.com/mac-security-blog/author/kirk-mcelhearn/)およびJoshuaLong(https://www.intego.com/mac-security-blog/author/joshlong/)によってMacSecurity Blogに投稿されたHow to Run Windows 11 for Free on an M1 or M2Macの翻訳です)

かなり昔から、AppleはBoot Camp( https://support.apple.com/ja-jp/boot-camp
)という機能によって比較的簡単にMacでWindowsを使えるようにしてきました。このBoot
Campを使えば、Intelプロセッサを搭載するMacをmacOSとWindowsのどちらからでも起動することができるので、両方のオペレーティングシステムを使う必要がある人には手放せないものになっています。

ところが残念なことに、AppleはIntelプロセッサを搭載するMacにしかBoot
Campを提供していません。つまりAppleがMacにM1とM2というApple製プロセッサを搭載してから、Windowsで起動したり(https://act2blog.blogspot.com/2022/07/2022mac-integotips.html)、Intelプロセッサを利用してWindows用Appをネーティブで実行できるMacはほとんどなくなりました(https://act2blog.blogspot.com/2022/06/intelm1-macwindows.html)。現状、Appleが販売するIntelプロセッサを搭載するMacは、Macminiの1機種と一般的なパーソナルコンピュータの価格帯をはるかに超える価格のMacProだけです。

しかし、今後はApple製プロセッサを使いたい人にも、まだ仮想化という選択肢が残っています。MacでWindowsや他のオペレーティングシステムを実行するためのAppとしては、ここしばらくはMVWare
FusionとParallelsDesktopの2つが主流となっています。ただし、M1あるいはM2を搭載するMacに対応しているのはParallelsDesktopだけです。ちなみにParallels Desktopの価格は、旧バージョンからのアップグレードが5,204円、そしてProEditionは9,818円となっています(https://www.parallels.com/jp/products/desktop/buy/)。キャンペーンなどでは、もう少し安い価格になっていることでしょう。

この金額が高いと思う人には、インストールがちょっと面倒ですが無料でオープンソースのエミュレータ、QEMUという選択肢もあります(https://www.qemu.org/download/#macos )。しかも、UTMAppというプログラムを使えばMacでQEMUを利用する際の設定を極力省くこともできます。UTMはParallelsDesktopほどの機能は持ちませんが、無料です(正確に言えば、支払わない方法があります)。

この記事では、無料のUTMと無料のWindows 11 Proを使って、M1、M1 Pro、M1 Max、M1Ultra、あるいはM2プロセッサを搭載するMacでWindowsを実行する方法を説明します。

■UTMについて

UTMは、QEMUのすべてのソフトウェアを含む上にユーザに分かりやすいグラフィカルインタフェースが搭載されています。UTMを使うには基本的にコマンド入力が不要で、見た目はParallels
Desktopに少し似ています。UTMをインストールしてWindowsを設定することは、さほど複雑ではありません。

UTMはそのウェブサイトから無料でダウンロードできますが( https://mac.getutm.app/
)、Mac App Storeから1,220円で購入することもできます(https://apps.apple.com/jp/app/utm-virtual-machines/id1538878817)。どちらでも同じバージョンのUTMが入手できますが、Mac App
Store経由で購入した場合は開発を金銭的に支援することができる上に、今後もプログラムは自動アップデートされます。ウェブサイトからダウンロードできる無料版には自動アップデート機能がないため、常に最新版を使いたければこまめにUTMのアップデートの有無をチェックし、アップデートがあれば手動でダウンロードしなければなりません。

■初めてのUTM

使用開始する前に、起動ボリュームに少なくとも100
GBの空き容量があることを確認してください。これだけの空き容量があれば、UTMとWindowsをダウンロードしてインストールしても少しは空き容量が残るので、今後のmacOSのセキュリティアップデートも問題なくダウンロードしてインストールできるでしょう。空き容量が100GBない場合はIntegoのセキュリティおよびユーティリティのバンドル製品であるMac PremiumBundle X9( https://www.act2.com/integostore )に含まれるWashing
Machineのようなプログラムを使って空き容量を増やすことができるかもしれません。

Mac App Storeで購入したのではなく、ウェブサイトからUTMの無料版をダウンロードした場合、プログラムは275
MBのディスクイメージとしてダウンロードされます。ディスクイメージを開くと次の図のような画面になるので、UTMAppをアプリケーションフォルダへドラッグしてコピーしてください。UTMのディスクイメージは圧縮されているので、アプリケーションフォルダへAppをコピーすると実際には1.1GBほどの容量を消費します。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm1.png

UTMを開くと、次の図のような画面が表示されます:
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm2.png

このような仮想化ソフトウェアの設定では、まず新しい仮想マシンを作成します。こうして作成した仮想マシンに、UTM経由で使用できるWindowsとAppをインストールします。MicrosoftはIntelプロセッサ用のWindowsしか販売していないので、M1あるいはM2MacでWindowsを使うためにはARMプロセッサに対応する特殊なバージョンを入手しなければなりません。ARMというのは、AppleのM1およびM2プロセッサの基になっているプロセッサのシリーズです。現時点では、MicrosoftはARMプロセッサ用のWindowsを販売していませんが、Windows
Insider Programに参加すればWindows 11のプレビュー版を無料でダウンロードすることができます(
https://www.microsoft.com/en-us/software-download/windowsinsiderpreviewARM64
)。このファイルは10GB以上の容量があるので、高速な回線でダウンロードしないとダウンロードに一晩中かかる可能性もあります。

なお、サードパーティ製のWindows用ソフトウェアには、ARM用のWindowsに完全対応していないものがあることに注意しておいてください。ARM用Windows11はARMプロセッサ用ですが、基本的なIntel用Appも実行できるようにx86/x64エミュレーションエンジンが内蔵されています。これは、Intelプロセッサ用macOSを対象にしたAppをApple製プロセッサを搭載するMacで実行するためのRosetta2と同様の考え方です( https://support.apple.com/ja-jp/HT211861)。ただしアンチウイルスソフトやビデオゲームなど複雑なソフトウェアの場合は、開発元がAppをARMネーティブに書き換えるまで動作しない可能性があります。MicrosoftがARM用Windowsを販売も宣伝もしていない現状なので、ARMネーティブのWindows用Appを開発する開発元はほとんどありません。繰り返しになりますが、多くのサードパーティ製AppはMicrosoftの内蔵エミュレータで問題なく動作するので大きな問題はないでしょう。

Windows11が完全にダウンロードされるまで、UTMのGalleryを覗いてみるのも良い考えです。これは、ダウンロードできる仮想マシンのリストを確認できるUTMのウェブページです(https://mac.getutm.app/gallery/
)。リストには、利用可能な多様なLinuxディストリビューションに加え、懐古趣味を満足させるためのMac
OS 9.2.1も用意されています。Classic Mac OSを使う場合は、Mac OS 9: Some Love for
the Classics!(https://www.intego.com/mac-security-blog/mac-os-9-some-love-for-the-classics/)という記事も参照ください。 すでにサポートは終了していますが、Mac OS9用の古いIntego製ユーティリティをダウンロードするリンクもあります。

UTMで特定の仮想マシンを初めて起動した場合、マウスカーソルは動作しません。次の図で矢印の右にあるUTMツールバーのマウスカーソルをキャプチャするためのボタンをクリックしてください。カーソルが仮想マシンによって「キャプチャ」された状態からカーソルを解放したい場合は、Control+Optionを押してください。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm3.png

このギャラリーには、いくつもの古いバージョンのWindowsがあることに気づくことでしょう。Windows
7あるいはWindows XPを実行するための仮想マシンをダウンロードすることもできます。MacOS 9同様、こうした古いWindowsのバージョンにはセキュリティアップデートは提供されていないのでご注意ください。Windows11の項目には、この記事で説明しているのと同様のインストール手順が記載されています。ダウンロードしてすぐに使い始めることができる仮想マシンは存在しませんので、このガイドでは順を追って操作を説明していきます。

■Windows仮想マシンの設定

Windows仮想マシンを設定するには、UTMのホーム画面で「Create a New Virtual
Machine」をクリックし、ツールバーの「+」アイコンをクリックします。ここではARM用のWindows11をダウンロードしてありますので、次の画面ではVirtualizeを選んでください。これは、選択したソフトウェアがM1あるいはM2プロセッサ上でネーティブで実行することを意味します。なお、M1あるいはM2プロセッサを搭載したMacでIntel用のWindows11を実行したい場合は、エミュレーションが必要なので処理速度の遅いEmulateを選ぶことになります。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm4.png

次の画面では、どのオペレーティングシステムを実行するか指定しますのでWindowsを選んでください。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm5.png

次の画面には有効になっている2個のオプションがありますので、そのまま有効にしておいてください。BrowseをクリックしたらダウンロードしたWindows
11 VHDXイメージを指定し、OpenをクリックしてからContinueをクリックします。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm6.png

続いて、仮想マシンに割り当てるメモリ容量とCPUコアの数を選びます。デフォルトのままにしておいて、必要なら後で変更するのが良いでしょう。Continueをクリックします。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm7.png

次の画面では、共有ディレクトリ、あるいは共有するフォルダを選択できます。この設定は、Macから仮想マシンへ、あるいは仮想マシンからMacへファイルを転送したい場合は必須です。Browseをクリックして使いたいフォルダを指定するか、新規フォルダを作成します。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm8.png

最後の設定画面は、まとめ画面です。ここで設定の内容を確認するとともに、仮想マシンの名前を指定できます。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm9.png

Saveをクリックすると、UTMが仮想マシンを用意します。次のような画面が表示されます:
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm10.png

大きな矢印をクリックすると、仮想マシンが起動します。数分でWindowsの設定画面が表示されます。前述の通り、UTMウインドウ内でカーソルを使うためにはツールバーに表示されたカーソルボタンをクリックする必要があります。その後、UTMにカーソルを解放させるにはControl+Optionキーを押す必要があることは忘れないでください。

設定の過程でWindowsがネットワークへのアクセスを要求しますが、これがちょっと面倒なのです。とりあえず、Shift-F10キーを押してWindowsコマンドプロンプトを起動し、OOBE\BYPASSNROと入力してEnterキーを押してください。これで、Windowsにネットワーク設定をスキップさせられます。仮想マシンが再起動するので、設定でネットワーク画面が表示されたら「Idon't have internet」というオプションを選びます。このオプションをクリックし、Continuewith limitedsetupをクリックします。後でソフトウェアを追加でインストールすることで、ネットワークを利用できるようになります。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm11.png

次の設定は、ユーザアカウントです。好みのユーザ名とパスワードを入力し、3個のセキュリティの質問を設定します。これは、自分のことをちょっとでも知っている人なら、あるいは自分のFacebookの投稿を読んでいる人なら、誰でも答えられるような単純な質問です。なので、質問には正直に答えず適当な答えを設定し、それを忘れないように記録しておくのも良い考えです。質問と回答をパスワードマネージャに保存しておくこともできます(
https://www.intego.com/mac-security-blog/how-to-choose-the-right-password-manager-for-you/
)。

その後もいくつかの画面を進み、設定が終わるまで数分待つと、Windowsのデスクトップが表示されます。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm12.png

でも、まだ終わりじゃありません。ネットワークやその他の機能を使うためにいくつかのソフトウェアをインストールしなければなりません。UTMのサポートページ(https://mac.getutm.app/support/ )を開き、SPICE Guest Tools and QEMU Drivers(Windows)をダウンロードしてください。

この.isoディスクイメージファイルをダウンロードしたら、UTMウインドウのツールバーで右から2番目に表示されたDriveOptionsボタンをクリックします。CD/DVD (ISO) image (usb) >
Changeを選び、イメージファイルを選択します。Openを選ぶと、D:ドライブとしてマウントされます。後ろにバージョン番号が付いたspice-guest-toolsという名称のファイルがありますので開き、インストールを許可してください。これでネットワークドライバが追加され、さらにコピー&ペーストなどの他の機能を実現します。

このインストールが完了したら、仮想マシンを再起動します。これで、Windowsが使えるようになりました。

UTMは素晴らしいソフトウェアとはいえ無料ですから、Parallels
Desktopより機能が少ないです。処理速度も遅いし、オペレーティングシステム間でファイルをドラッグすることもできません。でも、SPICE
Guest
Toolsのおかげで、オペレーティングシステム間で少なくともテキストはコピー&ペーストできます。

■UTM環境設定と設定

UTMの環境設定と設定は、2つの場所にあります。メニューバーのAppleメニューの隣にあるUTMメニューをクリックしてPreferencesを選ぶと、App自体の環境設定画面が開きます。特別な理由がなければ、その設定はデフォルトのまま変更しない方が良いでしょう。

QEMUおよび仮想マシンに関係する設定を呼び出すには、仮想マシンを選んでツールバーに表示されたEditボタンをクリックします。仮想マシンの設定を変更するバイは、事前に仮想マシンを終了して仮想マシンのステータスにStoppedと表示されている必要があるので注意してください。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm14.png

ここには、CPUコアやメモリなど変更できる設定がたくさんあります。UTMを初めて設定する際には、こうした設定をデフォルトのままにしておくように上でお勧めしました。でも、お使いの仮想マシンが遅いと感じたら、メモリやCPUコアを増やして違いがあるか試すことができます。ただし、この設定変更が必要なのは、プロセッサやRAMに負担のかかる処理を行う場合だけで一般的な用途では変更しても大きな違いは期待できません。
https://www.intego.com/mac-security-blog/wp-content/uploads/2022/06/utm15.png

他の設定も確認だけはしておきましょう。基本的に設定はしなくて構いませんが、必要なら変更も可能です。

■これでM1 Macでも無料でWindowsが使えます

前述の通り、Mac App
Storeで1,220円で販売されているUTMなら、Appは自動でアップデートされます。ウェブサイトから無料でダウンロードした場合、Appには自動アップデート機能が内蔵されていないので、新しいバージョンが公開される度にUTMを手動でアップデートしなければなりません。最新バージョンはUTMGitHubページ( https://github.com/utmapp/UTM/releases)で確認できます。アップデートにはUTMのAppとその基になっているQEMUソフトウェアの両方のアップデートが含まれているので、必ず常に最新にアップデートしておかなければなりません

Windowsを頻繁に使うにしても時々しか使わないにしても、UTMは無料でWindowsが使える素晴らしい方法です。なお現時点ではWindows11も無料ですが、いつまで無料でダウンロードできるかは誰にもわかりません。今後どこかの時点で、MicrosoftがARM用Windowsを販売開始する可能性は高いと思います。

■お使いのMacは安全ですか?

Mac用のセキュリティソリューションを検討しているなら、ACT2の次のIntego製品ページで機能や目的に合った製品があるかご確認ください:

https://www.act2.com/intego

株式会社アクト・ツー
Software Product Team

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